今の所は日銀の当座預金の極一部だけにマイナス金利を付利するだけのものなのですが、
アナウンス効果は思った以上に大きかったらしいです。
利ザヤ縮小で金融機関は阿鼻叫喚
金融株が大暴落しているにも関わらず日経平均が上がっているこの気持ち悪さ。
図表は国債のイールドカーブ(出典ブルームバーグ)なのですが、8年辺りまでマイナス利回り、超長期(20~30)年も1%前後の水準まで利回りが下がっています。日銀は金利には直接的にノータッチにも関わらずこの凹みっぷり。これが期待に働きかけるというやつらしいです。
金融機関はこの金利を基準として(利ザヤを乗っけて)貸し出しを行っているので、利回り縮小は利ザヤの縮小に直結します。これは銀行にしろ保険にしろ年金にしろ厳しいです。ゼロを通り越してマイナスになってしまうと、逆ザヤ(費用を賄えない、予定利回りを確保出来ない。)状態に。
当面は当座預金の極一部なのですが、効果がないとなると徐々にマイナス付利の割合を増やして・・・マイナス幅を増やして・・・それに伴って更なる逆ザヤの拡大と言った事を織り込んでいるのかもしれません。
利ザヤの取れそうなハイリスクな運用先(貸し出しなり債券なり、株式)に手を出そうとすると自己資本規制(バーゼル)に引っかかったりと、まさに往くも退くも地獄。バーゼルIIIをすり抜ける画期的な金融技術の到来が望まれます。
今後、再編が進むかもしれません。
預金者に罰を
預金金利は当然ながら下がります。(ただでさえゼロみたいなものですが。)現状としては直ぐに預金にマイナス金利が適用される事は無さそうです。ただ金融機関の利ザヤ縮小にともなってサービスの改悪・・・実質的なマイナス金利が見込まれます。
短期債やCP(コマーシャルペーパー)で運用するMRFやMMFで運用停止の動きがあるようです。
預金者に罰をというのが今回に限らず最近の日銀の施策なのですが、だからといって散財したり、現金で抱え込んだりと言ったことが出来ないのが難しい所です。何れにしろ需要の喚起には至っていないわけですね。
借り手には恩恵
あくまで借りられれば、あと魅力的な運用先があればという話になりますが。
変動金利でローンを組んでいる方はそのまま利払減、固定金利の方も借り換えで恩恵を受ける事が出来ます。
問題なのは借りてまで何かしようという環境に無いのではないかと言う事だったりします。
ローンを組んで家や車を買いますか?設備投資をしますか?という事です。踏み切れない人が多々ということは緩和の効果は限定的だということです。
一番恩恵を受けるのは政府
借り手の中でも1000兆円以上と言う途方も無い債務を築き上げた我らが日本国政府が最大の恩恵を受けていると言えます。黒田総裁は財務省(旧大蔵省)出身なので、本当はこれが狙いなんじゃないかと言われています。
マネタイゼーション(日銀による国債引受)状態にあるのは公然の秘密です。
現状は打ち出の小槌状態なのですが、万が一に【2%目標】が達成されて利回りが上昇しだすとなると・・・ちょっと考えたくないです。FRBがゼロ金利→量的緩和開始→テーパリング→利上げに要した紆余曲折を考えると、日銀に出口はあるのだろうか?
目先は円売り、株買い
何時まで効果が持続するのか?そのうち副作用で手酷い揺り返しがあるのではないか?逡巡すること多々ですが、とりあえずは【今の流れ】に乗ってみるのが吉なんじゃないかと思います。長期的には誰得なのかもしれませんが、長期的には皆死ぬ”In the long run we are all dead”ので案ずるよりはなんとかといった感じです。
無能な日銀によるバズーカは不発どころか悪化要因に・・・
さてさて黒田さんは何発の不発弾を打てば気が済むのだろうか・・・
経済を安定化するのであれば、まずは日銀の偏差値の低さをなんとかしないと・・・
頼むから黒田さん、日本のため、世界のために辞任してよ・・・
どんどん緩和の効果がショボくなっている&ボラティリティだけが高まっている様な気がしますね。長期的な効果についてはまだまだ様子見なのでしょうけど。
そろそろ責任を取って退任という話も出てきそうですが、此処まで往くも退くも地獄の状況ですと、後任も大変ですね。